東京行きの序で、五色沼まで足を
伸ばしました。数年前、智恵子の
故郷福島県安達町を訪ねた帰りに
見た五色沼の水の色が忘れられず、
もう一度、目にしたいと・・。
「二つに裂けて傾く磐梯山の裏山は
険しく八月の頭上の空に目をみはり
裾野とほく靡いて波うち
芒ぼうぼうと人をうづめる
半ば狂へる妻は草を藉いて坐し、
わたくしの手に重くもたれて
泣きやまぬ童女のように慟哭する
・・・・・ 」(「山麓の二人」)
高村光太郎が詠った磐梯山の麓
五色沼の近くのペンションに宿を
とりました。
さすがに夜はもう冷え冷えとしています。
薪ストーブの赤い炎が旅愁を慰めて
くれました。
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