多くの人で賑わう紅葉の許を離れてバラ園に来ると、名残のバラがひっそりと咲いていました。

 濃い緑の葉蔭に一輪、まだあどけなさの残るような、屈託のないオレンジ色の花が目に留まりました。
“スブニール・ドゥ・アンネ・フランク” 通称「アンネのバラ」でした。 ベルギーの作者デルフォージュが、
アンネの父、オットー・フランクに贈ったというバラ。 勝気で聡明、未来への夢を描き続けながら、
ベルゲン・ベルゼン強制収容所で15歳の生涯を終えた少女、その少女が明るいバラとなって甦った・・
ふと、そう思いたい衝動に駆られました。晩秋の明るい静けさの中。

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