雨脚はしだいに激しさをまして、横から吹き上げるように降り続き、光ると同時に
大地を震撼させて轟く雷鳴に、ちょっと生きた心地がしません。雷は近いようです。
川のようになった木道を滑らないように慎重に下ります。

 第2ケルンから40分ほど下って、ようやく八方池山荘前のリフト乗り場に辿り着きました。
既に多くの人が雨宿りをしています。リフトも止まったままです。ゴアテックスを着ていても、
少し、寒くなってきました。
 ドイツ人らしいファミリーが駆け込んできました。10歳前後の男の子と女の子、
Tシャツと短パンで雨具も着けず、ずぶぬれになって・・。(風邪ひかないかな・・) 

 無謀にもサンダル履き、薄いTシャツ姿で登って行った若いカップルは大丈夫かな?
唐松岳へ向かった人たちはさぞかし怖いだろうな・・。雷に打たれなければいいけれど・・。
そんなことを考えながら、リフトが動き出すのを待ちました。

 20~30分も経ったでしょうか? 雨が少し小降りになり、雷鳴が遠ざかって、ようやく
リフトが動き出しました。しっかり雨に濡れながら、「今、このリフトが止まったら、飛び降りて
歩いて下りるしかないかな・・」などと考えながら、何とか、ゴンドラに乗り継ぎました。


  

 ようやく麓に着いて、着替えをすませた頃、今迄の荒天が嘘のように、光が射し始めました
ゴンドラの乗り場付近に群生していたギボウシが雨の雫を帯びて、キラキラ輝き始めました。
その美しさに、しばし、目を奪われました。
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