科鉢池からなおも登りつめてゆくと、池全体を見下ろせる高みに出ました。オオシラビソ、コメツガ、ダケカンバ、原生林の中にひっそりと抱かれるようにして建つ風吹山荘が、真正面に、小さく小さく見えました。
そこからは明るく開けた風吹天狗原に出ます。旧火口丘か外輪山であったらしい其処は、どこまでも広々とした草原です。チングルマやイワショウブが咲く原も、あと二週間で草紅葉が始まるとか。私たちは、しばらくのんびり、時を過ごしました。